『大津波のあとに』『槌音』試写会

山形国際ドキュメンタリー映画祭2011公式上映作品である、森元修一監督の『大津波のあとに』と、大久保愉伊監督の『槌音』の試写会が渋谷であり、観に行った。

森元監督の『大津波のあとに』は、震災の二週間後の仙台、東松島、石巻を撮影した記録である。車のガソリンがなくなるまで撮りつづけたというこの作品を観て、私はいろんなことを考えていた。

被災地に行かなかった自分は、被災地の映像を何度もテレビで目にしてきた。けれどもそれはすべて、誰かの注釈付きの映像だったことに、この映画を観て気付いた。この『大津波のあとに』は、ただ瓦礫やヘドロの積まれた風景を、延々と車で走って撮り続ける。たまに住民であった人、小学校の様子がぽつぽつと出てきて、出てきた方がぽつぽつとしゃべっている。ぺしゃんこになった車。めちゃくちゃになった街。灯りの少ない夜。崩壊した家屋。ひっくり返ったような教室。この映像には、作者の解説がなかった。だから、観客は観たものを自分の感覚で、捉えるしかなかった。そこがすごくよかった。だからこそ、この事実とシンプルに、向き合えた気持ちがした。

観ている間、強く意識していたのが「この風景、人々にカメラを向けている人」のことだった。このような風景、大変な被害に遭った直後の人々に、カメラを向けるというのは、どんなに勇気がいるだろうか、と思った。カメラというのは武器のようなもので、大きく人を動かす力を持っていると同時に、人を深く傷つける力を持っているものだと思う。こんな大きな悲しみの前に、カメラを向けるというのは、相当の覚悟が必要なことだろう。私などは絶対に怖くてできない。当事者でないから、下手に触れたら被災した人を傷つけるだけだから、自分のようなものにはそんなことに介入する資格はない、等々、言い訳をいろいろ考えてしまう。けれど、この映像は、カメラが武器になってしまうことを承知した上で、その上で遠慮がちに、果敢に、この出来事と関わっていこうとしている。それぞれの3.11があり、みなが共有できることなど、もちろんない。だからこそ、自分の立場で必要だと思うことを伝えていく。その意志と、勇気に、私は感動して、自分の立ち位置というものを再度考えさせされたのだった。
後の『槌音』は、被災した岩手県大槌町出身の大久保監督が、震災前の映像と、震災後の大槌町を撮ったものを編集して作った、貴重な映像だった。

渋谷のアップリンクで近日公開されます。11月19日~11月25日まで、18時45分から上映されるとのことです。

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この記事へのコメント

吉田の俗人
2011年11月02日 20:59
半径ナンメートルで起きてる
懸案にあたふたしてる私は
よもちゃんとこにお邪魔する度に
平和ボケの自分の襟を正す思いです。
そして、楽しみにもなりつつあります。
どんどん発信してください。





よもぎ
2011年11月04日 00:02
吉田のお母様
あまりほめられると舞い上がるたちなので要注意です(*^o^*)私など、通りすがりの多くの方の親切によって、ここまで生きてこれたのです。自分が納得できる仕事をしたい、そうできるようになっていきたいです
ガンディーを騙る男
2011年11月04日 20:12
>通りすがりの多くの方の親切によって、ここまで生きてこれたのです。

三蔵法師のような発言ですね。

『三十路の歯磨き~私は通りすがりの多くの方の親切によって、ここまで生きてこられた~』
舞台より映画のほうが面白そうだと思ってきました。
よも
2011年11月05日 18:37
自分では、テネシー・ウィリアムズの『欲望という名の電車』の主人公ブランチのラスト近くのセリフを意識していたのだが、それを三蔵法師とは……。しかもちゃっかり『三十路の歯磨き』のサブタイトルにされてるし(-"-;)いい加減ガンディーはあきらめなよ。
上映延長決定!!
2011年11月24日 17:41
現在上映中の『大津波のあとに』『槌音』ですが、急遽上映延長が決定いたしました。追加日程:11/26(土)~12/2(金)連日16:30より。11/25(金)までは18:45から上映しています。 http://fartheron.soragoto.net/

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